各種材料評価試験機の総合メーカー 株式会社東洋精機製作所

衝撃試験(シャルピー・アイゾット衝撃強さ)とは?参考規格:JIS K 7111・ISO 179・ ASTM D6110(シャルピー)/JIS K 7110・ISO 180・ASTM D256(アイゾット)など

  • 測定原理図
    測定原理図
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シャルピー衝撃試験・アイゾット衝撃試験・引張衝撃試験は、振り子形衝撃試験の一種です。

振り子(ハンマー)で試験片に衝撃荷重を与える試験方法で、プラスチック材料などの耐衝撃性、粘り強さ、脆さの評価判定に使用されています。

通常、試験片には応力を集中させるためにノッチ(切り欠き)加工を行います。 

 

試験方法 試験の概要
試験規格
シャルピー衝撃試験
  • 試験片の両端を支え、ノッチ(切り欠き)の背面側をハンマーで打撃して破壊させたときの衝撃の強さを評価します
  • プラスチックの衝撃試験において現在主流となっている試験方法です
  • JIS K 7111
  • ISO 179
  • ASTM D6110
アイゾット衝撃試験
  • 試験片の一端を締め付けて固定し、ノッチ(切り欠き)のある側をハンマーで打撃して破壊させたときの衝撃の強さを評価する方法です
  • 固定の際の締め付け圧力が誤差の要因となるため、必要によりトルクレンチなどで一定の締付圧に調整します

  • JIS K 7110
  • ISO 180
  • ASTM D256

引張衝撃試験

(テンサイル衝撃試験

  • 試験片に引張方向の衝撃を与え、衝撃的速度で引張破断するときのエネルギーを測定する方法です
  • クロスヘッドインヘッドタイプ(ASTM、ISO、JIS)とインベースタイプ(ISO、JIS)があります
  • 軟らかすぎる・薄すぎる・衝撃値が大きすぎるなどの理由で、シャルピー衝撃試験やアイゾット衝撃試験が難しい材料に適用できます

  • JIS K 7160
  • ISO8256
  • ASTM D1822

 

原理

最初にハンマーの持ち上げ角αの位置から落下させて試験片を破断し、残ったエネルギーにより反対側に振り上がる角度βを測定し、試験片を破断するのに要したエネルギーを算出します。
したがって最初のハンマーが持つエネルギーE1、および試験片破断後ハンマーが振り上がったときの示すハンマーのエネルギーE2は、それぞれ次式で表されます。

E1=WR(1 ーcosα) (1)
E2=WR(1 ーcosβ) (2)

このとき、試験片を破断するのに要したエネルギーE は、

E=E1 ーE2=WR(cosβーcosα)(3)

α:ハンマーの持ち上げ角(150°)
β:試験片破断後のハンマーの振り上がり角
E:試験片を破断するのに要したエネルギー(J)
WR:ハンマーの回転軸周りのモーメント(N・m)

 

※試験片の破断エネルギーは理論上上記(3)によって算出しますが、実際はハンマーの軸受部の抵抗損失、風損があるのでその補正式を示します。ハンマーの軸受の抵抗損失エネルギー、風損をL とすると、

E-L=WR{(cosβ-cosα)-(cosα′-cosα)(α+β/α+α′)}(4)

β:持ち上げ角より振り下ろし試験片破断後反対側に振り上がった角度
α:持ち上げ角
α′ :試験片をとりつけないでαの角度から振り下ろし反対側に振り上がった角度

衝撃値は、

Ak=E/A 又は Ak=(E-L)/A (5)

A:試験片の断面積
Ak:衝撃値(kJ/㎡)

引張衝撃試験ではクロスヘッドの補正も行います。

 

試験規格

シャルピー衝撃試験

JIS K 7111-1 プラスチック−シャルピー衝撃特性の求め方− 第1部:非計装化衝撃試験
K 7111-2 プラスチック−シャルピー衝撃特性の求め方− 第2部:計装化衝撃試験
ISO
179-1 Plastics — Determination of Charpy impact properties — Part 1: Non-instrumented impact test
179-2 Plastics — Determination of Charpy impact properties — Part 2: Instrumented impact test
ASTM D6110 Standard Test Method for Determining the Charpy Impact Resistance of Notched Specimens of Plastics

 

アイゾット衝撃試験

JIS K 7110 プラスチック− アイゾット衝撃強さの試験方法
ISO 180 Plastics — Determination of Izod impact strength
ASTM D256 Standard Test Methods for Determining the Izod Pendulum Impact Resistance of Plastics

 

シャルピー衝撃試験

1.試験片  

 規格 長さ(l) 幅(b) 厚さ(h) ノッチ後の残り幅(bN)
  • JIS K 7111
  • ISO 179
80±2mm 10.0±0.2mm 4.0±0.2mm 8.0±0.2mm
  • ASTM D6110
124.5~127mm 12.70±0.15mm 3.0~12.7mm 10.16±0.05mm

 

2.ハンマー

 規格 ハンマーひょう量 衝撃速度 衝撃刃先端
  • JIS K 7111
  • ISO 179
0.5J 2.9m/sec. R2mm、30°
1J
2J
4J
5J
7.5J 3.8m/sec.
15J
  • ASTM  D6110
1J 3.46m/sec. R3.17mm、45°
2J
3J
6J
8J
15J

 

3.試験片支持台

 

  支点間距離
  • JIS K 7111
  • ISO 179
62mm
  • ASTM D6110
101.6mm

 

アイゾット衝撃試験

1.試験片  

  長さ(l) 幅(b) 厚さ(h) ノッチ後の残り幅(bN)
  • JIS K 7110
  • ISO 180
80±2mm 10.0±0.2mm 4.0±0.2mm 8.0±0.2mm
  • ASTM D256
63.5±2.0mm  12.7±0.2mm 3.0~12.7mm 10.16±0.05mm

 

2.ハンマー

 規格 ハンマーひょう量 衝撃速度 衝撃刃先端
  • JIS K 7110
  • ISO 180
0.5J 3.5m/sec.
R0.8mm
1J
2.75J
5.5J
11J
22J
  • ASTM D256
1J 3.46m/sec. R0.8mm
2J
3J
6J
8J
15J

 

3.試験片固定台

規格 試験片固定台上面と衝撃刃の距離
  • JIS K 7110
  • ISO 180
22mm
  • ASTM D256

 

ノッチ加工

試験片のノッチ切削方法がJIS K 7144・ISO 2818などで規定されています。

切削ノッチ試験片と、ノッチが組み込まれた金型を用いて成形した試験片(成形ノッチ試験片)とでは、同一の試験結果は得られません。

JIS K 7111・ISO 179では、ノッチ先端半径によって、形状A、B、Cが分類されています。

  ノッチ形状A ノッチ形状B ノッチ形状C
ノッチ先端半径:rN 0.25mm±0.05mm 1.00mm±0.05mm 0.10mm±0.02mm

 

 

下記でご紹介する自動ノッチ加工機(ノッチングツール®)をご使用いただくことで、高精度でのノッチ切削加工が可能となります。

 

No.628 ノッチングツール®

シャルピー衝撃試験片・アイゾット衝撃試験片に自動でノッチ切削加工を行うノッチ加工機です。バリの少ない高精度ノッチ加工が可能です。

特長:

  • ノッチ加工条件を定めたJIS K 7144、ISO 2819に基づいて、シャルピー・アイゾット衝撃試験片にノッチ切削加工を行う加工機です。
  • 試験片の材質に合わせて加工条件(1回当たりの切り込み深さ、送り速度など)を設定・登録することができます。
  • パルスモーターにより0.01mm単位で高精度ノッチ切削加工が可能です。
  • 試験片クランプには25本(4mmの場合)の試験片をセットできます。
  • 衝撃試験片のノッチ切削加工のほか、A-4型はJIS K 7139、ISO 3167多目的試験片(A型ダンベル)から衝撃・曲げ・クリープ等の試験片の切り出し(両端スライス/サイドカット)も可能です。
  • ノッチカッターの先端寸法および実際に切削加工されたサンプルのノッチ寸法形状は、輪郭形状測定機で検査管理されています。

 

自動採寸

衝撃試験片の『厚さ』・『残り幅』を自動測定し、衝撃試験機およびPC*に転送・設定することができる寸法測定器をご用意しています。(*PCはオプション)

No.138 ノッチ試験片測定装置(シャルピー・アイゾット試験片寸法測定器)

  • シャルピー・アイゾット衝撃試験片の『厚さ』と『残り幅』を自動で測定。
  • 本機で測寸した『厚さ』と『残り幅』は、自動で衝撃試験機およびデータ処理ソフトウェア*に転送・入力されます。(*オプション)
  • 試験片の寸法測定および数値入力作業を省くことができるので、測定作業の効率化に貢献します。

 

低温試験

-40℃の低温環境下でシャルピー・アイゾット衝撃試験などを行うことができる低温槽付の衝撃試験機をご用意しています。

 

No. 526 冷凍機付衝撃試験機

526_冷凍機付衝撃試験機

特長:

  • -40℃までの低温下で、プラスチックのシャルピー衝撃試験、アイゾット衝撃試験、引張衝撃試験(インベース法のみ)、衝撃剥離試験を行うことができます。
  • 低温槽上部扉の開き⇒ハンマー落下は自動化されています。
  • 試験片は、低温槽内で冷却後、グローブボックスを通して試験片支持台にセットできるので、槽内温度を一定に保つことが可能です。
  • 冷凍機は、水冷式・空冷式を選択できます。
  • アイゾット衝撃試験の試験片固定台は、エアー締め式なので、個人差がありません。

 

全自動シャルピー衝撃試験

試験片最大300本の連続試験が可能な全自動シャルピー衝撃試験機をご用意しています。

 

特長:

  • 試験片の搬送から衝撃試験完了までの平均所要時間は約10秒。
  • リボルバー式6連カセットを採用したことにより、試験片の識別および試験中の割込試験等の操作性を向上させました。
  • データファイルは、汎用性の高いデータ形式なので、他アプリケーションからの活用が容易です。

 

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