各種材料評価試験機の総合メーカー 株式会社東洋精機製作所

ガス透過度・水蒸気透過度測定装置とは?差圧法式ガス・水蒸気透過度測定装置のご紹介

プラスチックフィルム・ゴムシートなどの包装材・封止材に用いられる材料の重要な特性値としてガス透過度・水蒸気透過度があり、測定方法として差圧法や等圧法による測定方法が規定されています。

差圧法は、サンプルの上側に測定ガスを充てんさせ、サンプルの下側を真空にして、透過した測定ガスの圧力上昇により透過量を測定する装置となります。

1.ガス透過度測定装置

ガス透過度測定装置 CT3

 

1.1 差圧法測定

圧力センサーを使用した差圧法による装置となっており、酸素・窒素・水素など各種ガスの透過度を測定することが可能となっています。

圧力センサーは測定する透過度に合わせフルスケールが異なるA・Bセンサーを選択することで、低透過度から高透過度まで測定サンプルに合わせた広い測定範囲に対応可能となっています。また、読取精度0.25%の高精度圧力センサーを用いており、高精度測定が可能となっています。

 

1.2 測定セル

測定セルは∅30, ∅70より選択可能となっており、小片サンプルにも対応しています。

測定温度の調節は、セル部を循環槽により温調する構造となっており、10~90℃と広い温度設定が可能となります。

571_ガス透過度測定装置_2 ガス透過度測定装置 CT3測定セル

 

1.3 自動測定

従来装置は測定時に手動バルブを操作しながら測定するという煩わしさがありましたが、本製品は自動バルブを採用したことにより、サンプルセット後はガス導入から測定終了まで自動測定が可能となっています。

 

1.4 圧力値補正

装置構造上に伴う温度分布の影響、および測定中の差圧変化の影響に対し、独自開発した圧力値補正計算を行っており、環境変化などに対する影響を最小限に抑えることにより高精度な測定を可能にしています。

 

1.5 拡散係数・溶解度係数測定

本装置はオプションで拡散係数・溶解度係数・遅れ時間の測定にも対応しており、透過メカニズムの評価として材料開発に役立つ特性値の測定も可能となっています。

 

1.6 主な仕様

温度測定範囲 10~90℃
試験片寸法
  • 50 × 50mm(測定部∅30)
  • 90 × 90mm(測定部∅70)

透過度測定範囲

[mol/(m2・s・Pa)]

  • A タイプ:4.5×10-15〜4.5×10-12
  • B タイプ:4.5×10-14〜4.5×10-11
測定ガス
  • 酸素
  • 窒素
  • 二酸化炭素
  • 空気
  • ヘリウム
  • 水素(オプション)

など

 

2.水蒸気透過度測定装置

水蒸気透過度測定装置 CT3W

 

2.1 差圧法測定

従来、水蒸気透過度の測定には等圧法が主に用いられておりましたが、JIS K 7129-5、ISO 15106-5で差圧法を用いた圧力センサー法が制定されました。本製品はこの差圧法測定に従った装置となっています。

従来の等圧法による測定装置は、消耗品・センサー校正などに費用がかかるケースがありましたが、本装置は低ランニングコストでの運用が可能となります。

自動バルブを採用し自動測定にも対応しており、また操作方法も簡易であるため、オペレーターの負担も小さく装置の導入がしやすい製品となっています。

また、ガス透過度測定装置と同様に独自開発した圧力値補正計算を行っており、環境変化に対する影響を抑え高精度な測定を可能にしています。

 

2.2 測定セル

測定セル部に付属する水蒸気発生機構へ流量調節した空気を流すことにより、指定の温湿度にコントロールされた水蒸気を試料へ供給する構造となっています。

調節範囲は温度20~85℃、湿度80~90&RHと広範囲な測定条件に対応しています。

572_2_水蒸気透過度測定装置セル 水蒸気透過度測定装置 CT3W測定セル

 

2.3 主な仕様

温湿度測定範囲 20~85℃、80~90%RH(組み合わせによる)
試験片寸法
  • 50 × 50mm(測定部∅30)
  • 90 × 90mm(測定部∅70)

透過度測定範囲

[g/(m²・24h)]

  • A タイプ:0.001〜1.000
  • B タイプ:0.01〜100.00

 

 


本文は、一般社団法人 日本試験機工業会発行の広報誌『TEST』Vol.62(2022年1月発行)にて発表した内容を追記・再構成したものです。

  • 題目:「ガス透過度・水蒸気透過度測定装置」
  • 筆者:株式会社東洋精機製作所 高原正博
  • 書名:『TEST』Vol.62(一般社団法人 日本試験機工業会)
  • 発行年月:2022年1月

前のページへ戻る

PAGE TOP